2012年11月12日
ナビがむせぶ道・高野龍神 3。
高野龍神スカイラインは、高野山を北端に南下して
途中、和歌山県最高峰の護摩壇山を通り、
龍神温泉近くまで、和歌山県の背骨をあたりを
うねうねと走っています。
高野山で7分目だった紅葉は、標高を上げるごとに色づきを増していき、
旧花園村のアジサイ園の辺りからは、まさに見ごろ、となりました。

道路沿いは落葉樹が続き、黄色のトンネルの上方は蒼穹の空。
和歌山市内とはトーンが違う、ひとつ濃いめの青。
セルリアンブルーと群青色の中間の、蒼。
工場も排気ガスも無い、正しいニッポンの蒼空が広がっています。
申し訳ないほど、気分がいい
と、カーナビが突然、「奈良県に入りました」と言い、ナビの画像に大仏が映し出されました。

ぼくの車のカーナビは、府県境を超えると女性の声で高らかに、
○○県に、入りました。とアナウンスが入る、のは至極あたりまえかも知れませんが、
モニターに、その県の名所の写真まで表示される、妙なオプションがあります。
進行方向右手に、野迫川村、の案内標識が立っています。
「のせがわむら」と読むのであるなあ、と妙に感心して、さらに数百メートルも進んだでしょうか、
カーナビの女性がが再び、「和歌山県に、入りました」と言いました。
画面に、白浜の円月島が映し出されました。

またしばらく進むと、今度は「奈良県に、入りました。」と言いました。
画面には大仏が映っています。
時間にして、1分経ったか経っていないかです。
なるほど。と、ぼくは感心しました。
和歌山と奈良の県境の尾根に沿って走っているので
地理的にはどちらかの県の敷居を跨いでいる訳です。
ぼくは今までここを何度も走りましたが、前の車にはカーナビはついておらず、
カーナビ付きの車になって初めて、このスカイラインが和歌山と奈良を行きつ戻りつしているのだということに気がつきました。
しかしまあなんと律儀に、と感心する間もなく、
カーナビ嬢は「和歌山県に、入りました。」と言いました。
画面に円月島が映し出されました。
今度は20秒も経っていません。
すぐにまた切り替わって、大仏が映し出されました。
「奈良県に入りました」。
どうなっておるのか。
カーナビ嬢は単に地理的に本当に県境を厳密に衛星でつかまえて
一生けんめいアナウンスをしているだけなのですが
あまりにもめまぐるしいのです。
よく持って1分。
「和歌山県に、入りました」。
カーナビ嬢は叫び続けます。
あくまでも滑舌良く、明朗な、透き通る声です。
「奈良県に、入りました。」
奈良県に、で、一拍置くところに、
カーナビ嬢のこの仕事にかけるひたむきな情熱、のようなものを感じます。
一途な性格だと思います。
「和歌山県に、入りました。」
それから、護摩檀山のスカイタワーで一服するまで、
カーナビ嬢はけなげに、
奈良県に入りました和歌山県に入りましたを29回繰り返しました。
最後まで、大仕事をやり遂げました。
たおやかな声で、嫌な顔ひとつせずアナウンスをしてくれました。
今度時間ができたら一度ゆっくりガストでエスプレッソでも飲んで
この時の顛末を聞いてみたいと思います。

途中、和歌山県最高峰の護摩壇山を通り、
龍神温泉近くまで、和歌山県の背骨をあたりを
うねうねと走っています。
高野山で7分目だった紅葉は、標高を上げるごとに色づきを増していき、
旧花園村のアジサイ園の辺りからは、まさに見ごろ、となりました。

道路沿いは落葉樹が続き、黄色のトンネルの上方は蒼穹の空。
和歌山市内とはトーンが違う、ひとつ濃いめの青。
セルリアンブルーと群青色の中間の、蒼。
工場も排気ガスも無い、正しいニッポンの蒼空が広がっています。
申し訳ないほど、気分がいい

と、カーナビが突然、「奈良県に入りました」と言い、ナビの画像に大仏が映し出されました。

ぼくの車のカーナビは、府県境を超えると女性の声で高らかに、
○○県に、入りました。とアナウンスが入る、のは至極あたりまえかも知れませんが、
モニターに、その県の名所の写真まで表示される、妙なオプションがあります。
進行方向右手に、野迫川村、の案内標識が立っています。
「のせがわむら」と読むのであるなあ、と妙に感心して、さらに数百メートルも進んだでしょうか、
カーナビの女性がが再び、「和歌山県に、入りました」と言いました。
画面に、白浜の円月島が映し出されました。

またしばらく進むと、今度は「奈良県に、入りました。」と言いました。
画面には大仏が映っています。
時間にして、1分経ったか経っていないかです。
なるほど。と、ぼくは感心しました。
和歌山と奈良の県境の尾根に沿って走っているので
地理的にはどちらかの県の敷居を跨いでいる訳です。
ぼくは今までここを何度も走りましたが、前の車にはカーナビはついておらず、
カーナビ付きの車になって初めて、このスカイラインが和歌山と奈良を行きつ戻りつしているのだということに気がつきました。
しかしまあなんと律儀に、と感心する間もなく、
カーナビ嬢は「和歌山県に、入りました。」と言いました。
画面に円月島が映し出されました。
今度は20秒も経っていません。
すぐにまた切り替わって、大仏が映し出されました。
「奈良県に入りました」。
どうなっておるのか。
カーナビ嬢は単に地理的に本当に県境を厳密に衛星でつかまえて
一生けんめいアナウンスをしているだけなのですが
あまりにもめまぐるしいのです。
よく持って1分。
「和歌山県に、入りました」。
カーナビ嬢は叫び続けます。
あくまでも滑舌良く、明朗な、透き通る声です。
「奈良県に、入りました。」
奈良県に、で、一拍置くところに、
カーナビ嬢のこの仕事にかけるひたむきな情熱、のようなものを感じます。
一途な性格だと思います。
「和歌山県に、入りました。」
それから、護摩檀山のスカイタワーで一服するまで、
カーナビ嬢はけなげに、
奈良県に入りました和歌山県に入りましたを29回繰り返しました。
最後まで、大仕事をやり遂げました。
たおやかな声で、嫌な顔ひとつせずアナウンスをしてくれました。
今度時間ができたら一度ゆっくりガストでエスプレッソでも飲んで
この時の顛末を聞いてみたいと思います。
